【夢をおいかける大人インタビュー!】タイ国際航空 (Thai Airways) 客室乗務員 井上 夏織さん

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井上 夏織さんの仕事
客室乗務員 (Cabin crew, Flight attendant)

井上 夏織いのうえ かおりさん 1977年生まれ、神奈川県出身。清泉女子大学文学部スペイン語学科卒業。タイに1年留学しタイ語を習得。2003年、念願の「タイ国際航空・客室乗務員」の採用試験に合格し、小さい頃からの夢であった職業につく。2017年現在も、バンコクを起点にタイ国際航空の客室乗務員として活躍中。夫は、前々回インタビューに登場した、航空機パイロットプラウット・パトムヨック(ニックネーム:ヨン)さん

聞き手:ニコ

「航空会社の客室乗務員」って、どんな仕事?

航空会社の客室乗務員って、昔は「スチュワーデス」って呼ばれてたんだよね。いまでは、キャビンアテンダント(略してCA)って呼ばれることも多いみたい。いまも昔も、客室乗務員って『女子のあこがれの職業』ってイメージがあるけれど、実際にはどうすればこの仕事に就けるのかな? 今回は、タイ国際航空で日本人客室乗務員として働いている、かおりさんにお話を聞いたよ!

インタビュー日時:2017年6月某日

ニコ かおりさん、今日は客室乗務員(CA)の仕事について教えてください!

かおりさん はい、よろしくお願いします。

ニコ かおりさんは、いつからこの仕事に就いているんですか?

かおりさん わたしは、2003年に採用されて、タイ国際航空の客室乗務員として働いています。

ニコ じゃあ、もう14年以上ってことですか? すごい!

かおりさん 長くこの仕事を続けてこれて、ほんとうに嬉しいと思います。子供の頃からあこがれて、とってもなりたくてなった仕事だったから。わたし、客室乗務員になるというのが夢だったけど、それ以上に「タイ国際航空」で働きたい、と思っていたんです。

ニコ へぇー! じゃぁ、いろんな夢が叶っていまの仕事があるんですね。でも、どうしてタイ国際航空じゃなきゃダメ、って思ったんですか?

かおりさん 就職活動をしていたころの経験です。当時は「就職氷河期」と言われていて、日系の大手航空会社が2社とも新卒採用をはじめて見送った年でした。それまで、日系がダメで外資の航空会社に就職するなんてことは考えたこともなかったんです。慌てて他の業界にも就職活動をして、なんとか生命保険会社の内定を頂けたものの、本命ではなかったので悩み続けました。就職浪人なんて許されるような空気ではなくて、心が決まらないままヨーロッパとアジアへの卒業旅行に出ました。そのときに乗ったのがタイ国際航空だったんです。フライトマネージャーをはじめ、乗務員がとっても楽しそうに仕事をしているのがとにかく印象的でしたね。

ニコ じゃぁ、生命保険会社には行かなかったの?

かおりさん やっぱり、諦められなくて… 「月刊エアステージ」という航空業界への就活専門の雑誌があるんです。卒業旅行から帰ったら、さっそくタイ国際航空の募集状況を調べました。すると、ちょうど8月に募集があるっていう情報があったんです。2001年のこの募集には、30人採用枠があって、2000人が応募したそうです。この応募では、わたしは残念ながら書類選考で落選してしまって… 「私が目指したこの業界、ぜんぜん甘くないな…」と、改めて感じました。

ニコ 2000人のうち、30人だけ!? どうやったら、その30人になれるんですか?

かおりさん わたしが、2003年の募集で採用されたのは、徹底的にやらなきゃいけないことをやったから、だと思っています。そして、なにより「良い先生」に出会ったから、というのが、一番大きいかな。

 

ニコ 良い先生? どこか学校に行ったんですか?

かおりさん はい。客室乗務員採用試験のための、さまざまな対策を教えてくれる専門の学校があるんです。わたしが出会って指導してくださったその先生は、ご自身も客室乗務員としての経験をお持ちでした。シンガポール航空のCAとして働いてこられた経験をもとに、後進養成のための指導をされていました。CA採用試験専門の学校は、志望している航空会社ごとのこまかい対策までノウハウを持っているのが強みです。自分がえらんだ業界が、厳しいプロフェッショナルの世界だと肌身で感じたので、専門家の指導が必要だと思ったんですね。

ニコ 学校ではどんなことを教えてくれるんですか?

かおりさん たとえば、面接のシミュレーションです。実際の面接は、英語でおこなわれます。学校では、立ち居振る舞いからはじまる、本番さながらの面接指導をおこないます。たとえば、「面接室のドアを開ける前に、満面の笑顔をつくりましょう」と先生が言うんですね。本番の面接では、部屋に入ったあとに笑顔になったのでは、遅いんですよ。ドアが開いた瞬間の表情で、第一印象が決まるからです。だから、笑顔になってからドアを開けるんです。

ニコ ほえー! すごい細かい!!

かおりさん 面接官からの質問の本当の意味についても、解説があります。たとえば、「家族のことを教えてください」と言われます。これ、どういう意味だと思いますか?

ニコ 兄弟が何人いるか、とかを知りたい?

かおりさん 面接官が「家族のことを教えてください」というときは、「あなたのバックグランドを知りたい」という意図があります。どんな家族に囲まれ、どんな環境で育った人間なのか。この人は、この会社に合う人間か、をみるための、ひとつの指標にしようと思った結果の、質問なんですね。

ニコ そんな意味があるんだ!

かおりさん その学校に通った当時は、面接のためのQ&Aを電車の中で毎日シミュレーションしてました。大変だったけど、とっても充実した日々でしたね。一緒に通った友達と切磋琢磨することも、刺激になりました。残念ながらタイ航空で不合格になってしまったお友達もまた、他の航空会社で活躍しています。

ニコ 諦めない人が、夢を叶えるんですね!

かおりさん 夢は具体的な行動にうつしていかないと、妄想で終わっちゃうと思うんです。わたしがタイ国際航空の客室乗務員になりたくて選考に落選してしまったあと、次にやったことは「タイ政府観光庁」に相談に行ったことです。どうしてもタイ国際航空で働きたかったから、「とにかくタイ語を勉強しに行こう」と思ったんです。でも、住むところはおろか、タイ語を喋れればタイ国際航空に就職できるのかさえ、あやふやだったので 笑。なりふり構わずタイ政府観光庁に行ったら、おすすめのアパートの住所を紹介してくれたんです。実際に行ってみると、アパートには現地採用で働く日本人がいて、タイ語学校を紹介してくれました。

ニコ えー!? 行動力がすごい!

かおりさん 「タイ国際航空受験のためのタイ語留学は、やや無謀ではないか…」という両親の反対を押し切ってタイに来ました。自分の決意を認めてもらいたかったので、1日のうち10時間と決めて、1年間、みっちり勉強しました。当時のことはよく覚えています。節約生活ですから、アパート近くのガイヤーン(焼き鳥)か、カオパット(チャーハン)、どちらを食べるかで悩む日々でした。30バーツ(2017年9月時点で、約100円相当)あれば、お腹いっぱい食べられた時代です。でも、その屋台や近所の人たちとの交流が、いまの私をつくっているのかも知れませんね。

ニコ じゃぁ、タイに語学留学したから、いまの仕事に就けたんですね!

かおりさん かならずしも、タイ語学校に通えばタイ国際航空に就職できる、という訳ではないと思いますけどね 笑。すくなくとも、採用試験の面接時に、「なぜタイ語を勉強したの?」と訊かれて、「タイ国際航空で働きたかったから」と答えたのは事実です。そのあと、面接官は「え!? それだけのために?」とわたしに聞き返しました。わたしは、「YES」って答えたんです。面接官のつぎの言葉は、「SEE YOU!」でした。このとき、わたしは『やるべきことは、すべてやりつくしたな』と思いました。もっとも訊いてもらいたかったことを質問してもらえたし、それに自信をもって答えることができたから。とっても嬉しかったですね。

ニコ ほわー!? しびれます!

かおりさん 私の経験から言わせていただけるなら、夢を叶えるのに大切なことは諦めないこと、「出会った仕事を天職に、目の前の仕事をより良い仕事に」ということです。有名な建築家の方のお言葉だったように記憶していますが、わたし自身の経験から、とてもしっくりくる言葉だと思っています。

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夢をかなえる唯一の方法は、夢がかなうまであきらめないこと。 でも、実際には途中であきらめちゃう人がほとんどなのかもしれません。失敗は成功の母ということわざもありますが、例え途中でくじけそうになっても、それが成功へのステップだと信じ、継続すること。簡単にできることではありませんが、かおりさんのように実際に夢をかなえた方のお話を聞くと、頑張る勇気がでてきますね。(安藤 理智)


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