【夢をおいかける大人インタビュー!】旅客機の操縦士(パイロット) プラウット・パトムヨックさん(39)

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プラウットさんの仕事「旅客機の操縦士(パイロット)」

プラウット・パトムヨック(ニックネーム:ヨン)さん 1977年、タイ国バンコク生まれ。チュラロンコーン大学法学部卒。子どもの頃からあこがれていた「飛行機」の仕事につくためバンコクエアウェイズに就職し、男性客室乗務員(CA)として勤務。その後、タイ国際航空(TG)で客室乗務員として勤務するなか、パイロットのライセンスを取得。現在はNewGen Airways社の副操縦士として、中国からの観光客をはこぶ任務についている。

聞き手:ニコ

パイロットって、どんな仕事?
パイロット(飛行機の操縦士)って、男の子ならだれもが一度はあこがれる仕事かもしれないね。大きな飛行機を、自分の操縦で大空に羽ばたかせる。たくさんの人を乗せて、何時間も空の上を飛んでいくなんて、とてもかっこいいイメージがあるよね。実際に、飛行機の操縦士として働いている人は、どうやってパイロットになったんだろう? 今回は、中国からタイへ、中国人観光客をはこぶ飛行機を操縦しているタイ人パイロット、ヨンさんに話を聞いてみるよ!

インタビュー日時:2017年6月某日

 

ニコ ヨンさん、はじめまして! いきなりだけど、ヨンさんがどうやってパイロットになったのか、教えてもらえますか?

ヨンさん はい、もちろんです。よろしくお願いします。まずは、今ぼくが働いている航空会社について、すこし説明をしますね。

ニコ はい、お願いします! どんな会社なんですか?

ヨンさん NewGen Airways という航空会社で、2013年に設立されたばかりの比較的あたらしい航空会社です。おもに中国からの観光客をバンコクに運ぶ路線が就航していて、将来的にはタイと中国を軸に、ASEANの各地域をむすぶ計画があります。いま、中国からタイを訪れる観光客がどんどん増えているので、とても伸びている業界だと思います。

ニコ なるほど〜! じゃ、ヨンさんもとても忙しいんですね!

ヨンさん ぼくの場合は、月に11フライトくらい、およそ80〜100時間のあいだ飛行機を操縦している計算になりますね。

ニコ うわー! 長い時間、空のうえにいるんですね。

ヨンさん ぼくは、子どもの頃から飛行機のパイロットになりたいと思っていたから、いまは自分のやりたい仕事ができて、ぜんぜん辛くはないんです。

ニコ やっぱり子どもの頃からの夢だったんですか? いつぐらいから、パイロットになりたいと思っていましたか?

ヨンさん たしか、小学生くらいの頃だったかな。毎朝、家の前で空を飛んでいく飛行機をみてました。パイロットにあこがれるどころか、飛行機に乗ったこともなかった頃です。「いつか、飛行機で空を飛んでみたいな」ってぼんやり思ってました。たぶん、ひとつのきっかけは大学生の頃だったと思います。その当時の担当教授が、とてもよい先生で。「夢をかなえるために、航空会社に入ってみたらどうか」とすすめてくれたんです。

ニコ へー、先生が背中を押してくれたんですね。

ヨンさん でも、そこにいたるまでは、なかなか大変な子ども時代でした(笑)

ニコ え? どういうことですか?

ヨンさん とくべつ裕福な家じゃなかったので、お手伝いもよくしました。また、隣の家がベーカリーだったので、朝6時から川を渡ってサナームルアン(王宮前広場)でパンを売るアルバイトもしました。それでお小遣いを稼いでいたんです。

ニコ ほわー、大変だ…

ヨンさん 勉強もよくできたわけじゃなくて。中学生になるときに、ぼくは公立校にそのままあがるんじゃなくて、地元の有名校を受験したかった。でも、小学校の先生はこう言いました。「おまえはどうせ受からないんだから、受験なんかする必要ないよ」 …当時のことはよく覚えています。忘れ物の罰として、ズボンを脱いで立たされたこともありました(笑) 先生っていうのは、子どもにとってとても大きな存在ですよね。

ニコ でも、大学はタイで一番入るのが難しい、チュラロンコーン大学に入ったんですよね。

ヨンさん そう。これもある先生との出会いがきっかけ。ずっと飛行機のパイロットになりたいと思っていたから、小さい頃からワットアルンを訪れる外国人観光客に話しかけたりして、英語の勉強をしていたんです。中学二年生のとき、兄のすすめで英語の塾に通うことにしました。その先生が、とにかく厳しい人だったんです。「英語力だけじゃなくて、いろんな面で、おまえはお兄さんの足元にも及ばないな」と、ズバッと言われました(笑)

ニコ うわぁ… なんか怖そうな先生ですね。

ヨンさん でも、その厳しい先生に、英語だけでなく、あらゆることをビシバシと指導してもらって。兄と比べられると、やっぱり「コンチクショウ!」って、悔しくてがんばろうってなるじゃないですか。結果、ぼくは通っていた高校創立以来、初めてのチュラロンコーン大学合格者になりました。

ニコ おおー、すごいです!

ヨンさん 振り返ると、よい先生・指導者にめぐりあえたことが、いまの自分を作っているんだな、と思います。

ニコ なるほどー。それで、いまパイロットという夢が叶っているんですね。実際に、航空会社で働いてみたときには、どうでしたか?

ヨンさん まず、すぐにパイロットにはなれなかったから、客室乗務員として航空会社に入社しました。客室乗務員という仕事は、飛行機に乗っているお客さんのケアをする仕事です。代表的な「サービス業」のひとつですね。ぼくはサービス業が好きなので、自分に合っていると思いました。それに、飛行機の中で働くということは、国内や海外の遠い場所に行ける、ということでもあるので、海外旅行が好きなぼくにとっては、願ったり叶ったりの職業でした

ニコ 客室乗務員を経験しないと、パイロットにはなれないんですか?

ヨンさん そんなことはないですよ。直接、パイロットとして航空会社に入社する人もいます。でも、やっぱりハードルが高いので、まずどんな仕事でもいいから航空会社に入社して、パイロットになる道をみつけたい、という人も多いかもしれませんね。

ニコ パイロットになるには、どんなことをしなければならないんでしょう?

ヨンさん 航空会社で旅客機のパイロットになるには、まずライセンスが必要になります。車の運転免許と同じですね。そのうえで、タクシー運転手がタクシー用の営業ライセンスをもう一つ持っているように、旅客機のパイロットも、旅客機専用のライセンスを取得します。これは、航空機の機種ごとにライセンスがあります。オートバイの免許が、原付や大型などにわかれているのと同じですね。

ニコ へー、そうなんですね!

ヨンさん ぼくは、タイ国際航空で客室乗務員として働いているときに、1年間休職をして、パイロット養成の航空学校に行きました。そこでライセンスを取って、もう一度客室乗務員に復帰。LCCが出始めたばかりのころは、パイロットの公募は少なく、客室乗務員に復帰しながらチャンスを待つことにしました。資格取得から2年後に、航空会社のパイロットとして採用試験に合格し、転職を果たしました。

ニコ なるほど。順番にステップアップして、パイロットまでたどり着いたんだ!

ヨンさん LCCという言葉を聞いたことがありますか? タイで有名なのは、Air Asia や Nok Air などがありますね。LCCはローコストキャリアの略です。大手エアラインより安い料金設定で、気軽に飛行機を利用できるようになりました。いま航空業界は、たくさんのLCCが出現したおかげで、航空運賃がとても安くなっています。それと同時に、飛行機の数が増えるので、当然、パイロットの数もたくさん必要になる。ということは、むかしと比べると、現代はパイロットになるという夢がかなえやすくなっているんですね。

ニコ ええ! じゃぁ、とてもチャンスなんだ!

ヨンさん そう! だから、いまパイロットになりたいという夢をもっている子どもたちには、ぜひ諦めずに夢を実現する方法をさがしてほしいですね

 

「アラジン」の魔法のことば :学習空間NOAHのアラジンこと安藤理智先生に聞いてみたよ!

「たった一人との出会い」が大きく人生を左右することがあります。その出会いが「えん」というものです。例えば、夢をかなえるために、自分一人で頑張れる範囲には限りがあります。そこに誰かが助けてくれたり、応援してくれたりしたら、きっとその夢は現実に大きく近づいてくるでしょう。そんな大きな影響を与えてくれる人と出会うためにも、いつでも一生懸命に笑顔で頑張っていたいですね。笑う門には福来るわらうかどにはふくきたるではありませんが、笑顔は幸運を呼び寄せてくれるものなのです。(安藤 理智)


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