【SDGsを学ぶ】バンコクで働く国際機関職員・外交官に、「お仕事」について聞いてみた。

SDGsって、なんだろう?

「SDGs」=エス・ディー・ジーズ、と読みます。SUSTAINABLE DEVELOPMENT GOALS の略で、「持続可能な開発目標」と呼ばれています。

外務省の特設ページでは、下記のような説明があります。

〜2030年までに持続可能でよりよい世界を目指す国際目標です。17のゴール・169のターゲットから構成され,地球上の「誰一人取り残さない(leave no one behind)」ことを誓っています。〜

https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/sdgs/about/index.html

海外の国際機関で働く職員や、日本を代表して働く外交官のみなさんのお仕事は、このSDGsにふくまれる17のゴールに関わっていることが多いのを、知っていましたか?

国際機関職員・外交官として働く日本人から学ぶ「SDGs お仕事図鑑」

2020年1月、2月と、バンコク市内サートーン地区にて、この「SDGs」をテーマに、在タイ日本国大使館主催のトークショーが開催されました。

第一回のテーマは、「質の高い教育をみんなに」。講師は、UNESCOで働く日本人職員、林川さん。

モデレーターは、文部科学省から在タイ日本国大使館へ出向中の、久芳さん。

第一回講師 林川 眞紀(はやしかわ まき)さん
モデレーター(司会)の、久芳 全晴(くば まさはる)書記官
会場は、タイに住む日本人の親子が多数。

林川さんが働くUNESCO(国際連合教育科学文化機関)は、「教育」「科学」「文化」に特化した、専門機関です。

〜諸国民の教育、科学、文化の協力と交流を通じて、国際平和と人類の福祉の促進を目的とした国際連合の専門機関です。(ユネスコ憲章前文より)【目的及び任務…憲章第1条参照】

https://www.mext.go.jp/unesco/003/001.htm

職員の数は、170カ国出身の2,000人を超え、うち870人以上が現地事務所や研究所、センターで働いています。(参考:国際連合広報センター

林川さんは、そのうちの一人、ユネスコ・バンコク事務所で働く日本人職員なのです。

ユネスコ・バンコク事務所は、じつは日本人がおおく住む「エカマイ」にあったんです。知らなかった。
林川さんの経歴や、経験してきた仕事の内容に、真剣に聞き入る子どもたち。

子どもたちからの質問「国際機関で働きたいとおもったら、どんな勉強をすればいいですか?」に答えた、林川さんのことばが印象的でした。

「専門教育は必要ですが、あとでやっても間に合います。

中高で学ぶべきは、『リーダーシップ』と『ディスカッション』。

国連では160カ国の出身者が、職員として働いています。

『急ぎでこの仕事をやって!』とお願いされた時、わたしたち日本人はいますぐ、今日やりますね。でも、他の文化や習慣で『急ぎ』の理解が翌週だったり、翌月だったり、と言うことがありえるのです。

160カ国からの人たちが働いていたら、そこには160の常識があるんですね」

林川さんの経歴をご紹介しましょう。

林川 眞紀(はやしかわ まき)
ユネスコ・アジア太平洋地域教育局(バンコク事務所)インクルーシブ教育と教育の質セクションのチーフ。

ロンドン大学経済政治学院国際関係論学士課程卒、同大学教育研究院国際比較教育学修士課程(教育計画)及び南オーストラリア大学教育学部幼児教育修士課程修了。国際開発センター(IDCJ)を経て、1993年アソシエート・エキスパートとして国連教育科学文化機関(UNESCO)パリ本部教育局識字成人教育課に勤務。その後、ユネスコ北京事務所、ユネスコ・バンコク事務所、JICA特別嘱託(人間開発部、2003-2005年)、そして国連児童基金(UNICEF)東アジア太平洋地域事務所(バンコク)にて、ノンフォーマル・識字教育、ジェンダー・女子教育そして幼児発達教育などを中心に「万人の教育(EFA)」推進プログラムに従事。2011-2016年, ユネスコ・パリ本部教育局にて基礎教育課、学習と教員開発課、及びジェンダーとインクルシーブ教育課の3課長に就任。教育局のジェンダーフォーカル・ポイントとして、女性と女子の教育プログラム調整も担当。2016年4月より現職。アジア太平洋地域の基礎教育開発全般事業の統括する他SDG4の地域コーディーネーションも担当。

「まちづくり」もSDGsのひとつ

第二回のテーマは、「住み続けられるまちづくりを」。

講師は、UNDPで働く岡橋さん。そして、国土交通省から在タイ日本国大使館に出向中の、崎谷さん。

第二回講師 岡橋 麻美(おかはし あさみ)さん、崎谷 唯比古(さきたに ただひこ)さん

「まちづくり」と一口に言っても、そこにはさまざまな要素が含まれます。

岡橋さんが、会場の子どもたちに質問します。「カンボジアに住む、7歳の女の子。この子が、学校に行くために必要なことはなんでしょう?」

もし戦争をしていたら…
感染症が広まっていたら?
今日、食べるものがなかったら?

いま、私たちが当たり前に学校に行けるのも、たくさんの条件が揃っているからなんですね。

第一回目よりも、さらに増えた参加者のみなさん。注目度の高さがうかがえます。

岡橋さんが働く、国連開発計画(UNDP)は、貧困や民主的統治、環境、気候変動などに関する活動を行っています。(参考:国際連合広報センター

岡橋さんがハマっていたのは、「テニス」「バスケットボール」「ヒップホップダンス」だったんだって。

岡橋さんは、自身の経験から、子どもたちにこんなメッセージを伝えたかったといいます。

「学生時代の自分に見えている世界が全てだと思わなくていいんです。

今いる環境に疑問があったら、勇気を出して、外に出てみてください。

必ず、あなたの居場所はあります」

岡橋さんの経歴。

岡橋 麻美(おかはし あさみ)
国連開発計画(UNDP)・アジア太平洋地域バンコク事務所の都市開発専門官。

早稲田大学教育学部卒業後、2008-2013年民間企業に勤務し、東南アジアのITインフラシステムの新規事業開拓を担当した後、メキシコシティに赴任し、スマートシティ案件の立ち上げ、マスタープラン作成支援を行う等、都市開発分野に民間の立場から従事。退社後、2014-15年まで英国ロンドン大学にて都市開発経済学修士を取得。在学中、ニューヨークの国連南南協力室、UNDP対外関係アドボカシー局の二つの部署でインターンを経験。2017年、UNDP本部管理局局長室に勤務。2017年後半から現在まで、UNDPアジア太平洋地域事務所の都市開発専門官として、民間企業との連携を通じた都市課題対策支援(特にインドネシア、パキスタン)、持続可能で包括的な都市計画の推進、ASEAN地域の市町村のプラスチックごみ対策案件作成を担当している。

在タイ日本国大使館で働く崎谷さんは、国土交通省で道路計画や新幹線建設、まちづくりなどを経験。タイでは、インフラや防災を担当しています。

崎谷さんの経歴。

崎谷 唯比古(さきたに ただひこ)
在タイ日本国大使館 二等書記官(インフラ・防災担当)

佐賀県生まれ。北海道大学土木工学科卒,北海道大学公共政策大学院修了。大学では交通計画の研究室で,景観,シェアサイクルについて研究。2010年国土交通省入省後,道路計画,新幹線建設,まちづくり等の業務を経験。2017年3月から在タイ日本国大使館勤務。大使館では,インフラ輸出やODAを担当。

子どもだけじゃなく、大人からも、たくさん質問が飛び交いました。
講演終了後に、直接質問ができるのって、すごいチャンスだよね。

国のために働くひとたち。世界のために働く人たち。

世の中には、いろんな仕事があることに気づきます。

これからの進路に悩んでいる親子、国際機関や外交官の仕事に興味のある子どもたちにとっては、経験者の生の声に触れられる、貴重な機会です。

COVID-19 新型コロナウィルス肺炎の感染拡大を受け第三回目以降は延期とします。(延期後の開催時期は未定です)

第三回 テーマ「飢餓をゼロに」
2020年3月14日(土)14:30~16:00(開催延期)
【講師】
武内真佐美 FAO(国連食糧農業機関)アジア太平洋地域事務所食品安全官
大使館農業・食品担当:村松書記官

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