【海外で働くお父さん】学力の高い子、バイリンガルの子を育てるために知っておきたいこと 〜 前園 和人さん(学習塾経営)

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海外で働くお父さんにとって、「子どもの教育」は、家族の将来にかかわる大きな問題。

ご自身がタイ・バンコクで日本人向け学習塾を経営し、また中学生の女の子と、小学生の男の子の父親でもある前園 和人さんに、「親子関係」や「教育」「子育て」について、ちょっと踏み込んだ質問をしてみました。

お話を聞いた人

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前園 和人(まえその かずと)

鹿児島県生まれ。タイ・バンコクの老舗学習塾「泰夢」塾長。鹿児島県立鶴丸高等学校、早稲田大学第一文学部卒業。学生時代より、早稲田アカデミーなどで塾講師としてはたらく。香港での学習塾勤務を経て、1997年よりタイ在住。タイ人の妻と、一男一女の4人家族。

 

これからの「子どもの未来」について

2003年末から、バンコクで学習塾「泰夢」を経営してきた前園 和人さん。塾講師としての経験は、30年を超えます。

日本、海外でおおくの日本人子女を見てきた経験から、これからの「進学」「受験」「仕事えらび」などについて、つよく感じることがあるそうです。

「いまの子どもたちが、将来じぶんの力で生きていく術を見つけなければならない頃には、わたしたち親世代がもっている常識は、おそらくほとんど通用しないでしょう。

それでも、変わらないことがあるんですよ。それは、『優秀な人材がもとめられる』ということ。

優秀な人材のつよみというのは、『選択肢がおおい』ということです。

自分のやりたいこと、できることの幅がひろいということは、これからの世界ではとても心強いことだと思いませんか」

 

タイでの塾講師歴が20年を超えますが、泰夢に通う子どもたちの様子も変わってきていますか。

「ここ数年で、タイの生活環境もだいぶ変わり、日本と大差ない暮らしができるようになりました。だから、どうせなら日本に帰りたい、っていう子も増えた気がします。

昔の卒業生で、いま30歳くらいの子が泰夢に通っていたときは、屋台で食事して、塾に遅刻してくるような子もいて、たくましかったですね。

なかにはタイに戻って働いている子もいます。その子たちを見ていると、『どこでも生きていけるんだよ』っていうことを、いまの子たちにも伝えたいんです」

 

どこで何をするにも「学力」さえあれば、なんとかなる

塾講師であり、父親でもある前園さん。自分の子どもの将来は、どう考えていますか。

「子どもが生まれたときから、かなり綿密にプランしましたね。

母国語は日本語で、小学校4年生くらいから第三言語の英語でインターナショナルスクール へ、というルートを考えてたんですが、なかなか親の思うとおりにはいきません(笑)

上の娘は、日本人学校大好き、ゆるいインターには行きたくないって言うんです。

そろそろ高校進学を考える時期なんですが、『みんなと同じように、高校大学に行って、日本で働く、というのは考えない方がいい』と伝えてます。

日本は、近い将来、国民の半分が高齢者になる国ですから、生活や仕事えらびは簡単じゃないよ、と」

 

泰夢に通う子どもたちは、いまどんな将来を見ているんでしょう。

「なかには、『将来これをやりたい!』って、明確な夢をもっている子もいます。でも、かならずしも明確な目標設定をもっていなくても、保護者は心配する必要はないです。

これだけ変動の激しい時代にあって、いま『おれは、これでいく!』と明確なポジションに向かうことは、逆にリスクもあるはずです。

中国やタイ、近隣国がグングン経済発展してますね。英語や技術の人材教育をしている国が、どんどん日本を追い抜いています。

10年、20年後の未来に、子どもたちの武器になるのは、日本人というブランドではなく、個人の能力、つまり『学力』だけです。

だから、自分の子どもにも、泰夢に通う子どもたちにも、つねづね『将来どこで何をするにも、学力さえあれば、なんとかなる』と伝えています」

 

バイリンガルの子どもを育てるには?

前園さんご自身が、国際結婚のご家庭で子育てをされています。ことばや教育の問題については、どう捉えていますか。

「自分の子どもたちを日本語バイリンガルにするため、かなり細かいケアをしました。

いわゆる『思考言語』をどれにするか、子ども自身が選択する時期があって、それはだいたい4歳ごろという説があります。

うちの場合は、妻がタイ語+かんたんな日本語ができます。でも、妻には『ぜったいに日本語では話さないこと。子どもとはタイ語だけ』と言いました。子どもが間違った日本語を覚えないようにするためです。

1歳半で日本語幼稚園に入れ、かならずわたし自身が絵本の読み聞かせをしました。

それでも母親と接する時間が長いので、3歳までは長女の言語はタイ語優位だったんです。でも、いまでは日本人中学校で問題なくやっているし、読書が大好きな子になっています。

これは、塾講師という仕事柄、たくさんの国際結婚の家族をみてきた経験則なんですが、たとえば日本人夫+タイ人妻の場合、母親がいっさい日本語をしゃべらない家庭のほうが、子どもの学力が高い傾向があるんです。

第一言語、母国語の基礎がどれだけ学力に影響をおよぼすか、という重要な示唆のひとつだと思います」

 

中学受験の対策が、子どもの思考力をのばす

自分の子どもの勉強も、直接みていますか。

「塾講師の仕事って、子どもの学校が終わった夕方から夜にかけてなので、家で子どもと触れ合う時間が少ないんです。だから、自分の子どもも泰夢に通わせて、そこで勉強をみています。

小学高学年では中学受験科に入れて、大量の宿題を親子でバトルしながらやりました(笑)

なぜ中学受験科かというと、ここで学ぶ内容って、日常や仕事に役立つ内容が多いことを仕事柄とくに感じていたんですね。

いま実際に娘は中学生になって、とても役立っています。方程式やグラフ、図形の相似など中3二学期でやることを小5でやるので、『思考力』の成長がぜんぜん違います。

だから、うちのように中学受験をする予定はなくても、学力向上が目的ならとてもよい効果があると思いますよ」

 


 学習塾 泰夢

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