タイに赴任が決まった。さて、住む場所はどうしよう? そんなとき心強いのが、日本語で現地の住居を紹介してくれる不動産会社です。
今回は、タイで不動産会社ディアライフを経営する安藤 功一郎さんに、「家族のこと」「起業のこと」「これからのビジネス」について訊いてみました。
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お話を聞いた人
安藤 功一郎(あんどう こういちろう)
1981年生まれ、神奈川県座間市出身。株式会社ディアライフ 代表取締役社長。大学卒業後、中古車店「ガリバー」を展開する株式会社IDOM入社。退社後、2005年に起業を目指してタイへ。小6、小3の息子の父親として、仕事の合間に親子でサッカーをたのしむ。
安藤 優(あんどう ゆう)
バンコク日本人学校に通う12歳、小学6年生男子。将来の夢は、プロサッカー選手として日本代表に選ばれること。好きなキャラは「進撃の巨人」のリヴァイ兵長。
安藤 翼(あんどう つばさ)
バンコク日本人学校に通う9歳、小学3年生男子。苦手なリフティングを克服し、将来はセレッソ大阪で活躍するのが夢。趣味はゲーム。
子どもの頃の夢は「サッカー選手」
Jリーグ開幕によるサッカーブームの影響をうけ、小2からはじめたサッカー。カラダを動かすことが大好きだった安藤 功一郎さんは、プロサッカー選手をめざして小中高と日々練習に打ち込んだそうです。
「小学生の頃は野球もやっていたんですが、試合に出るためにどちらかを選ばなければならなかったとき、サッカーを選んだんです。プロになる気まんまんでしたから。
でも、高校生のころに自分の実力に挫折しました。プロサッカー選手にはなれない、とわかったとき、どうしようかなぁって。サッカー以外にまったく興味がなかったので、大学進学も、就職もなんとなく進路を決めたようなところがありました」
大学卒業後、当時急成長していた中古車店「ガリバー」に入社。
もともと目の前のことを極限まで突き詰める性格だったことも幸いし、入社2年目にして「最年少 営業部長」に抜擢されます。
「ぼくはやると決めたらとことんまでやります。上場を目指して会社も急成長していたので、社内での評価はうなぎ上りでした。若干24歳で、営業部の統括です。『ガリバーの安藤』としてメディアの取材依頼もくるほどでした。
年収も4桁を超え、ストックオプション制度もあって、なにも不自由はなかったんですが、一気に上り詰めたところでふと気づいたんです。
いまのポジションより上には、役員しかいない。でも、若い会社だから、おそらく今後10年から20年くらいは上にあがれない消化試合がつづくんじゃないか。
そう思ったら、急に醒めてしまって…」
いまの評価やポジションは、本当に自分の実力なのか。たまたま急成長している会社に入った結果の偶然ではないか。
自分の本当の実力をためしたくなった、といいます。
実力を試すためには、起業しかない
退職後、安藤さんは世界中を視察してまわったそうです。
「南北アメリカからヨーロッパ、アジアまで20カ国ほどをみてまわったとき、タイでピンときたんです。自分を試す場所は、ここじゃないかって。
実力を知るには、コネもない、人脈もないこの場所で起業するしかない。ガリバーの時のような会社の看板なしで、自分の力だけでやれるだけやってみるのがけじめだ、と思いました。
そこで、まずはタイ語が必要だと考え、タマサート大学のMBAコースに入学をしたんです」
自分のことを「ビジネスマニア」というほどの安藤さん。とにかく商売を考えることが好きなのだそうです。
「週一回MBAの授業に出るほかは、ずっと商売のことを考えていましたね。ちょうど日本製の携帯がタイ人に流行り始めたころで、日本から携帯電話を仕入れて売ったこともあります。
タイの生活にも慣れた頃、日本の友人知人から『タイにいるなら、宿やチケットを手配してほしい』と言われることが増えたので、どうせなら商売にしようと考えました。
そこで設立したのが、PP TOURSという旅行会社です」
2006年設立のPP TOURSは、年商3億バーツを超える会社に成長しました。
「旅行業を始めた頃から10年ほど経って、あるジレンマに悩みました。かつての旅行会社は、ホテルや航空券の手配だけでなく、どこに美味しいお店があるか、どんな旅の楽しみ方があるかといった情報発信の機能も重要だったんです。
でも、インターネットやモバイルの発達で、旅行者は自分でそういった情報が得られるようになりました。旅行会社の存在意義が変わったんです。
つぎに、自分がやるべきビジネスはなんだろう、と考えたときに、人が活躍できる業態に投資すべきだと思ったんですね。不動産業をえらんだ一番の理由がそこです」
日本人がもっと海外へ出られるように
PP TOURSを売却し、不動産業へシフトした安藤さん。現在では、日本人16名をふくむ90人の社員をかかえるまでに成長したディアライフ。
安藤さんが事業を考えるうえで、一番大切にするのは「人が活躍する環境づくり」。
「これから、日本人はどんどん海外に出るべきだと思います。そのために、住めればいい、だけではなくて、仕事以外の楽しみや便利さを提供することが、ぼくのビジネスの根幹です。
そのひとつが、Jリーグのセレッソ大阪と提携して設立したサッカースクール、セレッソ大阪スポーツクラブ バンコク校です。
バンコクやシーラチャーの生活環境では、子どもたちは自然とからだを動かす機会が少なくなります。
ぼく自身、サッカーはいまでも大好きなので、自分の子どもやバンコクに住む子どもたちには、夢を持つチャンス、からだを動かす機会をたくさん作ってあげたいと願っています」
企業家として、とことんまでやりぬく姿勢をたいせつにする安藤さん。子育てについては、どんな考えを持っているのでしょう。
「自分の時間の99%はビジネスに使っているので、ちょっと言い訳がましいかもしれないけど、親はなくとも子は育つ、と感じることはあります。
自分自身、親から『勉強しなさい』とか、『大学はどうするの?』とか、一度も言われたことがないんです。
その点、すごく両親には感謝をしていて。自分で自分の人生を考えられる人間になれたのは、そういう親のおかげだと思っています。
とはいえ、自分の子どもには『宿題やったの?』って、つい聞いちゃうんですけど(笑)」
最後に、優くん、翼くんからみた「お父さん」について、聞いてみました。
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