【海外の子育てを知りたい!】タイの子育てママをインタビュー|アイダさん(タイ人・モデル・シングルマザー)

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IDA(アイダ=シリウット)
1988年ナコーンラーチャシーマー生まれ。雑誌やミュージックビデオに多数出演。女優やモデルとして活躍し、タイのティーンに絶大な人気を誇る。現在は、ビジネスと3歳の娘の育児をこなすシングルマザー。

Wikipedia – ไอรดา ศิริวุฒิ

【2016年4月 041号掲載】

「両親がそうしてくれたように、わたしも娘に対して、友達のようになんでも話すことにしています」

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人気ロックバンド所属アーティストとの「できちゃった婚」や夫の浮気による「離婚」が、雑誌や新聞、ソーシャルメディアなどで賛否両論を巻き起こす。どこの国にもありそうなゴシップ。おおげさに、社会の規範を声高に叫ぶように、スキャンダラスな部分にフォーカスされがちがだ、ことの本質は、人として、親として、真剣に今を生きた結果なのだと思う。

女優やモデルとして活躍し、自分で興したビジネスと、3歳の娘の育児とふたつの大きな仕事をこなすシングルマザー、アイダさん(27)。

「シングルマザーになってもやってこれたのは、家族の支えがあったから」と語る。

妊娠をきっかけに知った、自分の病気

ティーン向けファッション誌の表紙を飾り、人気ロックバンドのミュージックビデオにも出演。タイのティーンなら誰でも知っているというアイダさん。彼女が妊娠を告知された際、かかりつけの医師からは、出産を諦めることを勧められたという。

「妊娠して初めて知ったんですよ。わたし、実は特殊な病気だったみたいなんです。それまで、日常生活にほとんど支障なく生活してきたので気付かなかったんですが、『サラセミア(地中海性貧血)』と『甲状腺機能亢進症』という病気で。『この病気が原因で、通常よりも危険な出産になる可能性があります』ってドクターに言われた時は、正直、すぐには理解ができませんでしたね」

生まれてくる子どもにだけでなく、母体にも危険があるという説明を聞いてもなお、アイダさんは産むことだけを考えた。

「中絶は、考えられなかったです。子どもができたことが、純粋に嬉しかったから。どうしても産みたいと思ったんです。だから、ドクターに相談しました。さいわいにも『では、食事療法などで最大限の努力をしていきましょう』って言ってもらえて」

タイの一般家庭や医師によっては、つよく中絶を勧められてもおかしくないケースだと言う。運良く、理解のあるドクターに出会えたことだけでなく、家族の理解も大きかった。

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雑誌の表紙を飾るアイダさん。タイの若者が憧れるファッションリーダーだ。

出産を決意、それをささえた家族のサポート

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日本では、すでに珍しい話ではない「できちゃった婚」。しかし、いまだタイの社会においては立派な「反道徳的」行為だ。タイの古い世代の人たちにとって、婚前交渉や同棲といった行為は、とてもじゃないが許されるものではないという。

しかし、アイダさんの家族はすこし違った。結婚しているかどうかの前に、純粋に「孫」ができたことを喜ぶご両親を、アイダさんは誇りに思っているという。

「妊娠がわかったとき、まずは母に電話をしました。ちょうど日本へ旅行に行っているタイミングだったので、タイから国際電話をかけたんです。遠いところから、とても喜んだ声で『おめでとう!』って言ってくれて。まだ結婚もしていなかったので、怒られてもおかしくないことなんですけど。でも、子どもの頃から、両親とは隠しごとなく、おたがいになんでも話してきたんです。だから、大丈夫だと思ってました」

そんなアイダさんでも、さすがに父親には直接言えなかったそうだ。

「仲が良すぎたんですよ。わたしから直接言ったら、父が傷ついちゃんじゃないかと怖くなって。だから、恋人のエミーと相談して、彼から正式にあいさつに行く、ということにしました。わたしが、大学を卒業してすぐ、24歳のころでした」

両親にとっては、初孫でもある娘、ララベルちゃんが生まれてから約1年後。アイダさんは、エミーさんと離婚。理由は、エミーさんの浮気だったという。

「ある日、寝室に知らない女性ものの下着が落ちていて。それをきっかけに、別れることにしました。ララベルが1歳ちょっとのころ。そのあとも、週1のペースで、彼はララベルに会いに来ます。家族としては、関係は良好って言っていいんじゃないかな」

モデル業以外にも、オリジナルのファッションブランドとアクセサリーブランドを立ち上げたアイダさん。両親や、お手伝いさんにサポートをしてもらいながら、仕事を続けている。

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ララベルちゃんとアイダさん。親子だけれど、友達のようになんでも話す関係。

娘の教育と、家族の未来

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子どもの健康については、出産前からずいぶんと考えたというアイダさん。生まれた直後は、母体からの遺伝でララベルちゃんにも「甲状腺機能亢進症」の症状が見られた。

「妊娠中から、ほぼ間違いなく発症するだろうって、ドクターには言われてました。でも、なんとかなるはずだ、と信じてました。ふたりとも無事に出産を乗り越えて、いまでは元気な3歳児と、その元気に振り回される母親になっています(笑)ララベルは、まるで男の子みたいに活発なので、毎日たいへんですね。でも、あらためて元気に育ってくれてよかったなと思います」

そろそろ、学校についても考え始めているという。

「ララベルのパパは、都心の有名私立に入れたかったみたいなんですが、わたしは郊外に家を買ったので、その近くで学校を探したいなと思っています。彼と話し合って、近くのインターナショナルスクールに入れることに落ち着きそう。娘の将来をかんがえたら、やはり英語だけはしっかりやっておきたいですし、やっぱり彼の子どもだなと思うのは、とても歌が好きなんですよね。そういった芸術面もしっかり伸ばせる環境がいいかなと思って、まずはサマースクールから始めてみようかと話してます」

別れた夫とのこと、仕事のこと、娘の将来に関すること。アイダさんは、すべてララベルちゃんに話をしているそうだ。

「わたしは、両親にこうやって育てられたんです。ふつうの親子では話さないかもしれないことも、隠さず話をしてきました。だから、わたしも、娘に対しては包み隠さずなんでも話すようにしています。彼とのことも、だから娘はぜんぶ理解してるみたいですね。メディアに出る仕事をすることで、娘にはストレスをかけてしまったこともありますが、わたしの両親も愛情をもって接してくれるので、ララベルは元気に育っているなと思います」

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仕事場に、ララベルちゃんを連れて行くこともあったそうだが、最近はララベルちゃんが自らの意思でお留守番をすることも。

アイダさんがデザイン・販売するオリジナルブランド

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Dear Boy Letter(衣服)
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写真・構成/ニコラボ編集部

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