【夢をおいかける大人インタビュー!】今月の夢を追いかけるオトナは? 花まるラボ代表 川島 慶さん(32)

川島さんの仕事「学習塾の講師」&「ベンチャー企業の設立者」

川島 慶さん(32)株式会社花まるラボ代表取締役。栄光学園中学校・高等学校卒業。東京大学工学部卒業、同大学院工学系研究科修了。2014年、教材開発に特化した組織として株式会社花まるラボを設立、東京大学非常勤講師をつとめる。算数オリンピック、「世界算数」の問題作成・解説担当。

聞き手:ニコ

楽しみながら自信を培うことのできるデジタル教材?
川島さんは、東京大学を卒業後、「花まる学習会」を経営する株式会社こうゆうに入社し、学習塾の講師をつとめます。社内で経験を積んだのち、こうゆうから出資をうけ、「花まるラボ」という会社を設立しました。そして、「学ぶことに自信がない子どもたちにも、楽しみながら取り組んでほしい!」という思いから、「Think!Think!」というデジタル教材を開発したのです。楽しみながら自信を培うことのできるデジタル教材って、どんなものでしょうか? 川島さんのお話を聞いてみましょう。

インタビュー日時:2017年5月某日

ニコ 川島 慶さんは、「Think!Think!」というアプリを開発して、学習塾で授業をしているんですよね? どんなアプリなのか、教えてください!

慶さん Think!Think! は、iPadなどのタブレットやスマートフォンを使って勉強するアプリです。なかには4000題以上の問題が入っていて、いまは無料でだれでもダウンロードできます。

ニコ 無料なんですか? じゃ、ぼくでも使えるの? すごい!

慶さん このアプリを作ろうと思ったきっかけは、やる気のある子だけではなくて、「あまり勉強が好きじゃない」「考えることが得意じゃない」と思っている子にも、楽しみながら学んでほしいと思ったからです。最初は1600円で有料ダウンロードにしていました。ですが、経済的にめぐまれている子も、そうでない子も、世界中の子ども達に使ってほしいと思ったので、無料でダウンロードできるようにしました。

ニコ へー、すごい! いま、どれくらいの人が使っているんですか?

慶さん 2017年2月から無料化したのですが、それから2ヶ月ちょっとで、5万人の人にダウンロードしてもらっています。

ニコ 5万人!? たくさんの子ども達が使っているんだね!

慶さん Think!Think!を使うと、勉強しているという感覚はほとんどありません。先日、フィリピンの子ども達に体験してもらった時も、「さあ、やってみよう!」というだけで、みんな自由に学び始めるんです。そして、なんとかして問題が解けると「やったー!」とみんな喜んで、すぐに次の問題に挑戦する。ふつうの教科書で勉強しているのとは、ぜんぜん違います。

ニコ このアプリは、慶さんひとりで作ったんですか?

慶さん もちろん会社のチーム全員で作りました。私はこのアプリを作るために「花まるラボ」という会社を設立しました。いまは、12人の正社員と、50人のアルバイトでThink!Think!を作って運営しています。50人のアルバイトのうち、半分は問題作成チーム、あとの半分はプログラム開発チームです。アルバイトのほとんどは東大生で、このアプリの問題は東大生が作る良問だというのが強みのひとつです。

ニコ うわー、すごい! 慶さんは、子どもの頃からこの仕事をしたいと思ってたんですか?

慶さん じつは全く考えたこともありませんでした。小学生のころは、サッカー選手になりたかったのですが、小5くらいのときに、自分よりもはるかに上手な人をみて、うすうす、自分には他の道があるのかもなあと思っていました。同じ小学校の先輩に憧れて、中学受験することを自分で決め、親に頼みました。私立の中学に入ってもサッカーを続けていましたが、プロになるような人との力の差を更に感じました。中学受験という勉強の道を、自ら選んだわけですし、であるならば、東大を目指そうか、と考えるようになりました。

ニコ 何を学びたいから、というのではなく、東大に入ること自体が目的だったんですね。

慶さん そう言われればそうかもしれません。大学に入ったころには、テレビ局で働きたいと思っていました。理由は、「テレビ局に入ったら、女の子にモテるだろう」という、不純な動機です(笑) でも、フジテレビでインターンをしていたとき、ドラマの企画アイディアを出さなきゃいけなかったんですが、これだという面白いアイディアが浮かばなかった。他に活躍できる仕事があるかもしれないと思っていた頃、アルバイトをしていた花まる学習会で、代表の高濱の手伝いをしていました。すると、子ども達を伸ばすにはどうしたらいいか、というアイディアはポンポン出てくる。あ、自分は教育業界に貢献できるのではないか、とその時に気づきました。

ニコ へー。それで学習塾の先生になったんですね。

慶さん でも、ご縁あって児童養護施設に通う子どもや、アジアの国々の子どもたちに学習支援を行ううちに、花まる学習会に通えない子にも、良い教育を届けたいと思うようになりました。そこで、代表の高濱に、ITを使った教材開発を提案したのが始まりでした。

ニコ うわー。学習塾の先生になってからも、新しいことに挑戦したんだ!

慶さん いまの目標は、2020年までに1000万ダウンロードを達成することです。その90%は海外の子ども達に使ってほしいと思っています。今の子どもたちにとってのYoutubeのような、身近な存在のアプリを目指しています。

川島さんが作ったアプリ「Think! Think!」ってどんな教材?

子どもが持つ「学ぶ力」のベースには、「物事の背景や本質を想像し、解決策を見出だす力」があります。川島さんは、それを「思考センス」と呼んでいます。Think!Think!は、その思考センスを鍛える学習教材として設計されました。

いちばん大切にしたのは、「楽しく遊ぶように学ぶ」こと。思考センスを簡単にいうと、「頭のなかで立体などの物事を自由自在にイメージできる力」です。

東大卒の問題作成チームが考え抜いた5000を超える問題は、1日10分でも効果を発揮。一人ひとりのレベルにあった問題に、いつでもどこでも、短時間で集中して取り組むことができる、タブレット・スマホ用教材アプリです。

Google Play Awards 2017のBest App for Kids部門でファイナリストに選ばれたアプリ「Think! Think!」

Think!Think!公式サイトはこちら https://think2app.hanamarulab.com/

Think!Think!のダウンロードはこちら
iOSの方:https://goo.gl/6Gg3nm
Androidの方:https://goo.gl/LhUQWT

「アラジン」の魔法のことば :学習空間NOAHのアラジンこと安藤理智先生に聞いてみたよ!

好きなことを仕事にするよりも、自分の得意なことで、自分が求められている分野で仕事をする。これが仕事を考える上でとても大切なことです。そのためには、大人になるまでの間に、いろいろな知識を学び、経験を重ねることが必要です。仕事とは何かを作り出す「生産」という行動です。子どものうちは、何かを使う「消費」しかしていませんね。でも、誰かのために何かをしてあげた時、それは「生産」の第一歩をふみ出したことになります。(安藤 理智)


◆企画協力: 学習空間ノア

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